続・晴耕雨読

秋田在住の医学生ばんじょーの日々思っていることをつづったブログです。週2回くらいの更新を目指しています。スパムコメント対策のため、 コメント時に画像認証をお願いしております。お手数ですがご了承ください。

灰燼に帰す

ばんじょーです,こんばんは.

卒業試験が終わって,すっかり燃え尽きてました.精神的に灰燼に帰してます(灰燼に帰す=跡形もなく燃え尽きる).そのうち卒試で培った一夜漬けの知識が消失すればAshes to Ashesとなるわけです.おっといけない,忘れることに対してネガティブになってしまった.忘れたらまた覚えなおせばいいだけじゃないか,ははは.
医学部予備校の業界(世間には,医学生が国試に受かるために通う予備校があります.多分世間の大半の方は知らないと思うんだけど)では超有名講師のH田先生も「忘れることを恐れるな」って言っていました.これから半年,忘却と記憶の回廊を延々とめぐりたいと思う所存です.

とりあえず近況報告から.

まず,卒業試験ですが,自己採点した限りでは卒業できそうです.答案のマークシートの記入ミスがなければ大丈夫なはず.お世話になったみなさま,本当にありがとうございました.

次に,就職先が決まりました.母校です.大学病院なんで変わり映えがしないけど,まぁ勝手知ったる場所なんで,気張らずに仕事が出来そうです.もちろん国試に合格しないと働けないので,これからまた勉強を頑張りたいと思います.来年一緒に働くみなさま,よろしくお願いいたします.


さて,先日知り合いから相談を受けた.
知人の父親が呼吸困難で某大学病院に入院したんだけど(うちの大学ではありません,念のため),医療ミスで訴えるべきなのかアドバイスが欲しい,とのこと.

父親は,最初呼吸困難を訴え(夜間の咳がひどかったらしい)救急外来を訪れ,鼻からスチームで薬剤を投与されたらしい.が,その後意識が朦朧としたため,入院.その後病院側から「誤って通常量の10倍の薬剤を投与してしまった.申し訳ない」との謝罪を受けた.

その際「検査のため入院して欲しい」と言われ入院したのだが,入院費は患者持ちだと言われ(薬剤だけが原因とは限らないし,別の疾患がある可能性があるので,と病院側は説明している),さらに担当医が決まっておらず,投与した薬剤が何であるかの説明も受けていないらしい.父親は意識朦朧状態が持続しているためなし崩し的に入院となっているが,一連の成り行きに不信感を抱いた知人が,医療ミスで治療費を請求されることに対して訴訟という手段に出るべきかどうか悩んでいる,ということなんだそうだ.ちなみに入院2日目の話である.

事情をよく知らない上に,働いてもない医学生が無責任なアドバイスをするのもどうかと思いつつ,困っている知り合いに無碍に対応するのもどうかと思ったので,せめて患者さんと病院側の関係がこじれない方向で(つまり無難な方向で)事が進むようなアドバイスをするといいのかな,とか思いつつ話を聞いてみる.

担当医が決まっていないことについて,救急の医師が自分の科とは関係のない疾患で来た患者さんの場合,どの科で患者さんを受け持つかについてすぐに決められない場合があるようだ(実習先でそういうケースを見たことがある.お年寄りで複数の疾患を持っているような患者さんに多いらしい).また,病院側から説明がないことについて,ある程度治療の方針が決まってから患者さんへの説明を考えてるかも知れない.

それらの可能性を考えて,とりあえずは病院側に,何科が担当なのかと投与した薬剤の名前を聞いてみるといいんじゃないか,と話してみた.いきなり訴訟っていうと病院側も身構えてしまうだろうから,まずは対話がいいんじゃないかと.とはいえ,さすがに10倍投与は病院側に責任がある気がするけど….

患者さん側からすれば,医療訴訟をちらつかせることで「この患者さんに対してはもっと丁寧に接しなければいけない」と思ってもらえるだろうという認識があるかもしれないが,逆に病院側は医療訴訟を起こすクレーマーであるという認識を持ってしまって対応が遠巻きになる可能性がある.
病院側にしても,治療方針が立つまであやふやなことは言わないほうがいいと考えて説明をしていないかもしれないが,患者さんにしてみれば意識朦朧=重篤という認識を持っていて,重篤であればすぐにでも説明をしてくれるべきだ,という認識であるかも知れない.患者さんの命がかかっているだけに,些細な(っていうと失礼かも知れないけど)認識の違いでもすぐに大きくなってしまう可能性があるんだな,と思った一件であった.

それにしても,いきなり医療訴訟っていう話が出てきたのには驚いてしまった.医療訴訟が人口に膾炙されて敷居が低くなったのだろうか.医療訴訟って聞くと,まだ働いてないにも関わらず身震いしてしまうくらいに恐ろしく感じるんだけど,医学部に入る前は「白黒つけるために医療訴訟は必要だ」とか思ってたんだよな.医療訴訟自体に関しても,患者さんと医師との間で認識の違いがあるんだろう.
知人の父親が快復することを祈るばかりである.



  1. 2008/10/26(日) 23:20:34|
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空き樽は音が高い〜医学生のあやふや豆知識

ばんじょーです,こんばんは.
先週3日目の試験が終わりました.今のところ大きな失敗はしてないので,あとは4日目次第というところでしょうか.上手くいくといいけど….

さて,試験勉強してるということで,ちょっとした医学豆知識?を書いてみようと思います.興味のない方はごめんなさいね.


その1

うちの近くにフォーレという名前の美容室がある.おそらくフランス語のforet(森)がその由来だと思われる.
一方,病院ではフォーレは導尿管のことを指す.あの,尿が出ないときに,尿道に挿入するやつ.同音異句と分かっていても,その美容室の前を通るたびに導尿管を思い出して仕方がない.美容室が病院から離れた位置にあるのがせめてもの救いか.

ちなみに病院実習で急性アルコール中毒(いわゆる酒の飲みすぎで意識不明になった人)が深夜に運ばれてきたとき,上級医が冗談交じりに「もし医学生がこんな風に急性アル中で運ばれて来たら,おしおきに極太フォーレを入れるからね」って言っていたが,急性アル中で運ばれてくる患者さんはあまり医者に好かれない傾向にあるようだ.先輩に飲まされて急性アル中になったのなら気の毒かもしれないけど,それでも自業自得な感があるし,何より深夜に来るしね.酒は飲んでも飲まれるな,ってことで.


その2

健常な人間では,脳の下垂体という部分から,オキシトシンOxytocinというホルモン(血流に乗って,身体の各所にいろいろな作用を及ぼすタンパク質)が分泌されている.このホルモンは筋肉の収縮に作用し,お産のときの子宮収縮や分娩後の母乳の分泌を促す(射乳という)作用がある.

このオキシトシン,動物の社会性を維持する作用を持つという点でも注目を集めている.例えば,オキシトシンを鼻腔内に投与すると他人を信頼しやすくなるという報告がある(『内臓感覚』p100…だと思う).Wikipediaにも「オキシトシンを鼻腔内投与されると,見ず知らずの相手に対して信頼性を高め,よりリスクの高い投資行動を行ってしまう」とある.

でも,オキシトシンを投与しなくても,相手の脳内からオキシトシンの分泌を促進させる方法があるのだ.それは,乳頭刺激.乳首をさわることである.お産が遅れている(遷延分娩)ときにも,乳頭刺激によってオキシトシンの分泌を促進して子宮収縮を強め,分娩を促す作用があると参考書にも書かれている.もっとも,実際にやっている話は聞かないけど.

しかしながら,果たして信頼関係を壊さずに親しくなりたい相手の乳頭を刺激することが出来るのかとか,そもそも乳頭を刺激できるほど近しい相手なら今さら乳頭を刺激する必要なんてないんじゃないかとか,異性ならまだしも同性と近しくなりたい場合はこのオキシトシン分泌促進法はほぼ禁忌なんじゃないかとか,どうにも実現性の低い方法ではある.っていうかこれってアカハラですか,すみません.

  1. 2008/10/11(土) 00:46:57|
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負わなければならないリスクって書くとかっこよく聞こえるかも知れないけど

先日,テスト前にも関わらず,友達とメッセンジャーで「ジンバブエのインフレと地域経済の活性化」について1時間以上議論してしまいました.非常に密度の濃い議論で,この体験が僕らの10年後の進路を(いい意味で)変えるかも知れないなと期待しつつも,僕らの2日後を(悪い意味で)変えるのではないかという不安を拭い去れなくて,2008年秋.って感じなばんじょーです,こんばんは.のっけからグダグダな始まりですみません.そして友達のI君,よい体験を(素直に)ありがとう.

さて,最近は医学ゴロをよく作ってます.ゴロなんか作ってる暇があったら病態生理を覚えればいいじゃん,って気もするのですが,さにあらず.ゴロを作る時間というのは必要悪なんですよ.

現代経営学の父であるピーター・ドラッカーもこう言っています.リスクには4つの種類があり,そのうちの1つに「負わなければならないリスクがある」と.
今時間をロスしてゴロを作るというリスクを負わなければ,将来のテストで「あれ,なんだっけ〜?アレアレ」ってなことになる大きなリスクを負うかも知れないんですね.将来の大きなリスクを回避するための現在のリスクはやむをえないという訳です.
まさかピーター・ドラッカー氏も,経営学の話をゴロの話で引用されるとは思ってもいなかったでしょう.


ということで,最近は友達のS君とゴロつくりに励んでいたわけです(S君,いつもいろいろとありがとう!).
新作ゴロをいくつかご披露.

神経芽細胞腫の転移しやすい臓器
『新歓コンパ,頑張ってね』→神経芽腫は肝・骨・眼窩に転移しやすい

特に,「神経芽細胞腫は肺に転移しやすい」→×,という選択肢が頻出なので,抑えておいて損はないところだと思います。

菌培養と培地の組み合わせ
『ピーマン好きか?OK,バレるなよ』→PPLO培地はマイコプラズマ,スキロー培地はカンピロバクター,小川培地は結核,BCYE培地はレジオネラ

この2つは2日後の試験で問われるかもな〜と山を張ってます.出るといいな〜.


思わずこの時期に頻回の更新をしてしまったけど,このブログを書くリスクは,将来への投資になっているんだろうか….っていうかむしろ将来大きなリスクを背負う呼び水になるのではないのかという気もするけど,書いてしまったものは仕方ないってことで.とりあえず明日頑張るということで,今日はもう寝ます.みなさまごきげんよう.
  1. 2008/09/04(木) 03:55:23|
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良い病院選び?

明日から学校が始まるので若干ブルーなばんじょーです、こんばんは。
社会人のみなさまに春休みはないと思うので、贅沢な悩みだとは思うのですが。

週刊新潮4月10日号より。
良い病院選びのチェックポイントは、以下の7つなんだそうです。
1)病院の受付に医者や看護師がいるかどうか
2)放射線科がわかりやすい場所にあるかどうか
3)駐車場のサービスはどうなっているか
4)トイレが洋式であるかどうか
5)トイレなどの手洗いが温水かどうか
6)公衆電話に仕切りがあるかどうか
7)産婦人科や小児科が独立しているかどうか

多分、医療従事者か、それ以外の方で受け止め方がかなり違ってくると思うんだけど…。
僕は、設備面で病院を評価するのは少々乱暴かと思う。もしこれらのチェックポイントを評価するとすれば、事前情報を持ってなくても、その病院で治療を受けていいかの目安になりうる、ってところだろうか。医療従事者でないと、自分が受ける医療の良し悪しってなかなか分からないだろうからね。

もし患者さんがこういうポイントで病院選びをしてるとしたら、大学病院なんてかなりポイント低くなるよな…。ということは言ってはダメですね。冗談ってことにしておいてください。
  1. 2008/04/07(月) 01:34:42|
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術場には危険がいっぱい〜消化器外科編〜

ばんじょーです、こんばんは。
今日のブログは少しヤバメの内輪ネタです。これ公開するとやばいんじゃない、って思われた方は、連絡もらえると助かります。速攻で削除しますので。


さて、現在消化器外科の実習をしているところです。消化器外科は手術が長く、昨日の膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術は手術だけで11時間を要しました。先生方はその後ICU(集中治療室)まで患者さんを送って、その後病棟業務をしたりするわけで、つくづく外科は大変だなと思う。消化器外科の教授が「外科は大変な仕事だからなり手が減っていっている」とぼやくのも無理なからんことだ、と。

さて、昨日の手術の見学中に強い疲労感を感じ(その時点で6時間経過)、さすがにこりゃやばいと思って10分だけ仮眠をとりに手術場の控え室に休みに行ったら、なんとそこに、うちの大学でもっとも厳しいと言われている某外科の教授が!その科を実習で回っている学生数名と話をしているところでした。

呆然と立ち尽くす僕に、教授が「今こいつらに試問してるとこやったんや。お前も入ってこいや」
ばんじょー「いえ、お邪魔になるといけないので僕はこれで…」
教授「なにいうとんのや。邪魔なことなんかあるかい!」

そして導かれるままに教授の隣の特等席へ。おかしいぞ、僕は休みに来たはずでは…。
その後世間話と医療の今後についての教授のお話を聞く。緊張しっぱなしの30分だったけど、教授は上機嫌だったし、内容も面白かったので、有意義な時間を過ごせたと思う。

教授の話は、日本における外科医の給料の少なさについて。アメリカでは、医師がフリーで心臓外科の手術を行うと、1件につきチーフレジデントは100万、麻酔科医は50万を技術料として受け取るそうである。日本は診療報酬体系なので技術料という報酬はないし、基本的には勤務医であれば外科医でも内科医でも給料は一律だから、いくら難しい手術をこなしても報酬には結びつかない(多分。他病院でバイトで手術をする場合は特別報酬とかもらえるのかも知れないけど)。

教授曰く、朝から晩まで手術をして、休みもなく、給料も他の科の医師と同じだったら、そら外科医も減るだろうな、ということで、将来的には日本で外科医の給料が上がっていくんじゃないか、とおっしゃっていた。教授のお話では、すでに都内の一部の病院では、産婦人科医の給与が他の医師と比べて数百万万ほど上乗せにする方針にしているとのことで、外科医もそれに準じるようになるんじゃなかろうか、と。

やっぱり外科って、仕事が大変な上に訴訟がからんでリスクのある診療科だから、それなりのリターンがないとなり手も少なくなるんだろうなぁ。でも、現代ではそのリターンはやはり金銭という形になるんだろうな、資本主義社会だし。

その後は、今年の実習生たちの言動についての教授の評価の話となる。生々しい話なのでここには書けないが、聞いててひやひやしました。あと3週間。無事に実習を終えたいなぁ…。

休憩に行ったはずが、くたくたになって再び手術室に戻る。場面は、切離した空腸を挙上させて、膵→肝→胃の順に吻合するというChild変法を行っているところ。Child変法にはBraun吻合をするのだろうか、ってことを班員同士で話し合う。う〜ん、みんな勉強してるなぁ。僕も頑張らないと。

夜の9時半に手術を終え、帰宅。お昼ごはんも食べずに朝から11時間ずっと術野に入り続けたS君、本当にお疲れ様でした。僕が休憩を取ろうとして逆に疲労困憊したことなんて、それに比べれば些細なことです、多分。

そして帰って国対の仕事をして就寝。最近仕事のプレッシャーからか、心窩部痛が。H2ブロッカーを飲んで、だましだましいこうかと思ってます。国試までが勝負。

  1. 2008/01/29(火) 01:38:45|
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