続・晴耕雨読

東北在住のへっぽこ医師ばんじょーの日々思っていることをつづったブログです。週2回くらいの更新を目指しています。スパムコメント対策のため、 コメント時に画像認証をお願いしております。お手数ですがご了承ください。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

引きこもりを支える負の刺激(前編)

3週間前くらいのテレビ(ずいぶん前の話だけど)で、引きこもりが増えていることについて特集をやっていた。

僕も春休みに入ってからは、家にこもって、一日中誰とも話さずに本を読んでいたりするので、たまに人に会うと「最近引きこもってるんですよ」なんて話したりするんだけど、本当の引きこもりはこんなお気楽なものではなく、苦しい思いを胸の内にかかえているのだと思う。

って書くと、「引きこもってるのは甘えの精神からきているからで、同情などせず、無理やりでも働かせるべきだ」なんて思われる方もいるかもしれない。確かにそれは正論なんだろうけど、ニートが50万人を超えると言われる現状(ニートと引きこもりって、多分かなりの人数がかぶっているんじゃないかと思うので、引きこもりも数十万人くらいいるのではないかと思うんですよ)を鑑みるに、正論だけでは対処しきれない部分があるんじゃないだろうか。

っていうか、むしろそのような正論が、引きこもりと称される人たちの気持ちを焦らせ、傷つけている可能性もある。

「学校へ行け」とか「なんで人と話をするっていう当たり前のことが出来ないんだ」っていう周囲の言葉は、今の引きこもっているという状態を否定していると思うんだけど、学校や職場へ行ってコミュニケーションが上手くいかない状況と、どちらが自分をより否定されていると感じるんだろう?僕は五十歩ドングリを笑うって感じだと思うんですよ(先日ご紹介した造語コトワザを使ってみました)。

ネズミに不定間隔で電気ショックを与えるという実験があって、ネズミが止まってても、逃げても、何をやっても電気ショックを与えたらしいんだけど、そうするとどうなるか?ネズミはその場に縮まりこんで、震えたままになるらしい。どうしてそういう行動をとるのかはよく分からないんだけど、多分何をしても自分にとって悪い刺激がくるのであれば、何もせずに嵐が過ぎるのを耐えて待つという感じなんじゃないだろうか。このことは「誤診だらけの精神医療」って本に書いてあったんだけど、これって引きこもりの人たちが置かれている状況と似ているような気がする。家にいても家族からの無言の圧力がかかり、外へ出ても上手く人と接することが出来そうにないし、部屋の中で一人閉じこもっていても、「自分は引きこもりである」という感覚にさいなまれ続けて…。

ごめんなさい、引きこもりの方をネズミと比較するのも失礼な話なんですが。

先日のウチダ先生のブログ「不快という貨幣」に興味深い洞見が書かれていた。家で親に怒られるなどの不快に耐えていることが労働に値するのではないか、という考えである。世のお父さんが会社に行って本当はあまりやりたくもないデスクワークに耐え、お給料をもらうっていうようなことが、家庭における子供の立ち位置(親の小言に耐えて食事やお小遣いをもらったりしている)と重なっているんじゃないか、と。

同じようなことが、精神科医の斎藤環先生の書いた「社会的引きこもり―終わらない思春期」にも実は書かれている(と思う)。同書にはこう書かれている。
「(正論とか叱咤激励といった刺激は)本人にとってはプレッシャーやストレスを与えるだけで、活動をはじめるきっかけにはなりません。むしろ刺激が加えられれば加えられるほど、いっそうひきこもりが深まってしまいます。そして家族はさらなる不安と焦りに駆られ、なかば不毛と知りつつも刺激を繰り返すことになるのです」(p105)

家族や社会からのプレッシャー→本人はさらに焦ったり傷ついたりする→でも外へ行ってもやっぱり傷つくだろうから家にこもる→家族は焦ってプレッシャーをかける→…
という悪循環が発生していると同書では指摘してるんだけど、これってこう解釈することも出来ないだろうか。不快という刺激に耐えていることで、親の庇護の元にいることが出来ている、と。親は引きこもりの子供にプレッシャーをかけつつも、食事を作ったり洗濯をしてあげたりしてるんだと思うんですよ。たまにお小遣いもあげたりして。人間社会という視点から見れば社会に適応できていないかも知れないけど、生命体として生存状態を保つという観点から見れば、適度な刺激に耐えて報酬をもらっている状態に自らを置くというのは、理にかなった行動だと思うのである(多分これはベイトソン的な物の見方だと思うけど)。

ちなみに、上述の斎藤先生曰く、引きこもりの人たちはうつ病とは違うそうです。引きこもりの場合は、表向きは引きこもって行動力が低下しているみたいだけど、内心はすごく焦ってるらしい。社会に適応しなければいけないという気持ちと、社会に適応できない自分との間に葛藤を感じている、と。ちなみにうつ病は、行動力が低下し、かつ精神的にもやる気が起こらない状態らしい。うつ病の場合は身体症状なので、薬で治るという点でも引きこもりとは異なるそうですよ。

(続く)
スポンサーサイト
  1. 2006/03/12(日) 04:08:13|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishikawasss206.blog46.fc2.com/tb.php/14-d5727765
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。