続・晴耕雨読

東北在住のへっぽこ医師ばんじょーの日々思っていることをつづったブログです。週2回くらいの更新を目指しています。スパムコメント対策のため、 コメント時に画像認証をお願いしております。お手数ですがご了承ください。

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マンガを文化人類学的に考察する~『闘将!!拉麺男』とギリシャ神話~その3

さて、今までの話を『闘将!!拉麺男』の分析に使ってみたいと思う。ザーサイは、幼少時代に拉麺男と出会い、彼の拳法の腕前に惚れて弟子入りを志願する。その時拉麺男が、自分の師匠に共に弟子入りしようと誘うも、「大人は信用できないからお前から拳法を習いたい」と言う。でも拉麺男がザーサイに拳法をこっそり教えてるのが師匠にばれ、これ以上未熟なお前が拳法を教えるなら破門にすると言われた拉麺男は、ザーサイに拳法を教えられないと告げる。ザーサイは、大人の仲間である拉麺男に失望し、彼の元を去り(その時に背中の葉っぱが貼り付いた→蛮暴狼の誕生)、自ら修行して筋肉拳蛮暴狼となる。これらのことから、幼少時代は大人の助けを拒み、子どもだけのコミュニティにいることを望んでいたと思われる。

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一方、大人となった蛮暴狼は、地獄の殺人者と呼ばれるようになった。そして、自分が近しく感じていた子どもまでも、成り行きではあるが殺めてしまう。

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そう、彼の生き方は、幼少時代は同朋同士での結びつきが強すぎるコミュニティを欲していて、大人になったら同朋を殺めるほどに他者との結びつきが弱いというように、人間が生きていくための限界点を越えてしまった人生を歩んでいるように思えるのだ。だから彼の死は必然なんだと思うのである。

というか、彼はそもそも大人になりきれてなかったんじゃないかと思う。彼は幼少時代は欲しいものは大人(他人)から奪っていた。そして大人になっても、人の命を平気で奪っている(と思われる)。何かをもらったら何かをお返しするというのが世の中の原則だと思うんだけど、その原則に適応できないまま、奪うばかりで与えることが出来ないまま大きくなってしまった人間を、果たして大人とよんでいいのだろうか。

彼は精神的に大人(他者)の助けを拒んだ。そんな彼が肉体的にも外部からの侵入を拒むような形で自らを強くしていったというのは、ある意味彼にとって必然なのかもしれない。それでも人である以上、精神的にも肉体的にも他者から何らかの影響を受けるのは避けられない。そして、蛮暴狼が唯一精神的に受け入れた拉麺男だからこそ、その肉体を貫通することが出来たのかもしれないな、と思うのである。

とまぁ、文化人類学的に『闘将!!拉麺男』を分析してみました。こういう試みをする物好きな人ってあんまりいないんじゃないかなぁ。なのでこの分析が適切かどうかの検証の機会はほぼ訪れないものと思うけど、間違ってたらごめん、ってことで。でも、僕は『闘将!!拉麺男』の中でもこの話が一番と言っていいくらい好きなんだけど、それというのも、このストーリーから何らかの奥深さを感じるからかも知れませんね。

PS 脳内メーカー
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ちなみに脳内メーカー正面もあるよ。

PS キン肉メェ~ン
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  1. 2007/08/12(日) 03:29:12|
  2. 心理学・現代思想
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マンガを文化人類学的に考察する~『闘将!!拉麺男』とギリシャ神話~その2

さて、筋肉拳蛮暴狼の話を聞いて、ギリシャ神話のアキレスの物語を思い出した方がいるのではないだろうか。
どんな話かというと、彼の母親である海の女神テティスが、人間であるペレウスと結婚してアキレスを産んだ。しかし、神と人間との間に産まれた子は寿命があるため、子の不死を願うテティスは、体を浸すと無敵になると言われる冥界の河ステュクスに、赤子であったアキレスの踵をつかんで全身を浸した。その結果、河の水がついた部分はどんな攻撃も弾き返してしまうようになったのだが、踵の部分(つまりアキレス腱)だけが水についてなかったため、トロイア対ギリシャの戦争に参戦している際に、そこを攻撃されて死んでしまう、というのが大まかな内容である。

ちなみに、母親が赤子の踵を持って河に浸したってことは、子供を逆さにして河にじゃぶじゃぶ浸けたってことになるんだろうね。想像すると子どもにとって気の毒なシーンなんじゃないかと思うんだけど、文化人類学者レヴィ=ストロース曰く、神話の世界では逆子っていうのは、通常ではありえない誕生の仕方であるということから、英雄とか姦雄の誕生の先触れとして語られることがあるそうである。なので、アキレスの話でも逆子の状態で河に浸した結果無敵のアキレスが誕生した、という話の流れである可能性もあるよね。

結局、いくら神に近づこうとしたところで、アキレスはやはり人間であるため死んでしまう。人間の不完全性や有限性を示しているのではないかと思うんですよ(同時にアダムとイブが知恵の実を食べることで死ぬ定めを負ったように、人間が神世の時代に戻ることが出来ないという不可逆性を暗示しているのかもしれない)。不死でない以上、人間が神の真似をしてうかつに敵陣のど真ん中につっこんではいけない。他人を守ったり、守られたりしないと死んでしまう。そういう人間関係を作るには、他人に認められなければならない、すなわち人間としてのルールを守らなければならないだろう。じゃあ人間としてのルールってなんだろう?

その1つとして、自分と異なる他人を極端に遠ざけたり、自分と似たような人間だけで極端に固まったりしないこと、というのが挙げられると思う。

レヴィ=ストロースは著書『構造人類学』の「神話と構造」の章で、オイディプス王の神話を参照しながら、以下のようなことを述べている。自分の同朋を殺すほどに親族同士の結びつきが弱い集団と、近親相姦を行ったり自分の同朋に見境なく手をだすほどに親族同士の結びつきが強い集団は生き残ることが出来ないのではないか、と。ちなみにこれら2つの集団は人間集団の規範の限界を表しており、その2者の間に位置する集団、すなわち親族同士の結びつきが弱すぎもせず、強すぎもしない集団がこの世界で生き延びることが出来るのではないか、と内田先生は『現代思想のパフォーマンス』の中で述べている。

複雑ネットワークという考え方が近年盛んになってきている(と思う)。そこでも「ホモフィリー」と呼ばれる同朋同士の結びつきが強いコミュニティについて分析がなされており、実際の社会において、極端なホモフィリーは存在しにくいと考えられているようである(『「複雑ネットワーク」とは何か』増田直起、今野紀雄著)。大昔の物語である神話と近年の理論である複雑ネットワークに共通点を見いだせるというのは、コミュニティの存続という問題が、時代を問わず人間の興味をひくものであるからかも知れない。


なお、オイディプス王の物語は、オイディプス王は父親を殺し(同朋殺害)、母親と姦通した(近親相姦)という話であるが、オイディプスが祖国に戻り母との姦通という悲劇を引き起こす前に、彼はスフィンクスと出会っている(父親はスフィンクスと出会う前にそうとは知らず殺害してしまってたはず)。実はスフィンクスの話って、オイディプス王の神話の一場面なんですよね。

スフィンクスは「朝は4本足で、昼は2本足、夜は3本足であるものは何だ?」という謎をかける。オイディプスはその謎に答え(答えは「人間」)、スフィンクスは面目を失い自殺(多分)する。もしこの謎に答えなければ、オイディプスはスフィンクスに喰われるものの、祖国に戻って悲劇を生むことはなかっただろう。
レヴィ=ストロースは、謎というのは問いと答えと結びつかないから謎なのだ、と言っている。その謎を、問いと答えを結びつけてしまったばっかりに、結びつけてはいけない母と息子の関係も結びつけてしまうことにつながったと考えると、スフィンクスの挿話は興味深い話に聞こえるのではないかと思う。

  1. 2007/08/12(日) 03:28:48|
  2. 心理学・現代思想
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マンガを文化人類学的に考察する~『闘将!!拉麺男』とギリシャ神話~その1

ばんじょーです、お久しぶりです、こんにちは。

先日恩師コウイチさんのお宅にお邪魔させてもらいました。遅ればせながら、コウイチさん、先日はありがとうございました。夏カレー、大変おいしかったです。遠藤さん、米っちさんへ、楽しい時間が過ごせました。これからもよろしくお願いいたします(って、僕があまりFTEXTに参加できてないんですが…、すみませんです)。

って、大変プライベートな話題から始まってごめんなさい。
さて、食事の際にコウイチさんから「マンガにおけるありえない技を検証する」というブログのエントリーをいただいたので、ここで1つ、ゆでたまごのマンガ『闘将!!拉麺男(たたかえ!!ラーメンマン)』について書いてみようと思う。

今回はかなりマニアックなブログ(っていつものことか)になりますが、皆さん見限らないで下さい(弱気)。

ご存じない方のために、簡単な導入から。『闘将!!拉麺男』は、同じくゆでたまご作の『キン肉マン』に登場するラーメンマンを主人公にして描かれたマンガである。『キン肉マン』中の登場人物であるラーメンマンに人気が出てきたため、独立させて、まったく別の世界観のマンガを創ったということであるらしい(Wikipediaより)。

で、『闘将!!拉麺男』は、おそらく中国の話だと思われるんだけど。幼少時代に毒蛇(コブラ)党に家族を殺された拉麺男が、嵩山少林寺の師範陳老師と出会い、彼に12年間師事して超人拳法を学ぶ。そして、(多分)継承者のみに持つことを許された闘龍極意書を師匠から譲り受けた拉麺男は、毒蛇(コブラ)党を倒し、中国にはびこる悪人を退治すべく、弟子のシューマイと旅をする、というストーリーである(ちなみに毒蛇(コブラ)党は1話目に拉麺男によって全滅させられている)。

っていうか、めちゃめちゃ漢字変換しにくい単語ばっかりだなぁ…。ちなみに!拉麺男の正式名(?)は美来斗利偉・拉麺男(ビクトリー・ラーメンマン)だそうです。…ゆでたまごのマンガは基本つっこみ所満載すぎなので、これからも大半のことはスルーして話を進めて行きたいと思います。

ちなみに、画像の質が悪いのは著作権に配慮しているためで、決して取り込みが雑だったからではありません、念のため(ウソです、ごめんなさい)。

で、今回は『闘将!!拉麺男』2巻に登場する筋肉拳蛮暴狼(きんにくけんばんぼろ)の話である。

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こんなんです、蛮暴狼。

拉麺男の幼なじみであるザーサイは、幼少時に自分を裏切った(とザーサイ本人は思っている)拉麺男に復讐すべく、ひたすら筋肉を鍛え、拉麺男の技をすべてはじき返すほどに強固な肉体を得ていた。

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戦いに突入し、拉麺男の技はことごとくはね返されてしまう。

跳ね返す


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そして蛮暴狼のベアハッグの前にあわや拉麺男は失神寸前…、というところで、拉麺男は蛮暴狼の背中に1枚の葉っぱがくっついているのを発見する。
「おお、なんという自然のいたずらの皮肉なことか…この完璧な筋肉拳法が、こんな一枚の枯葉のためにやぶれてしまうとは…」
なんと、拉麺男とザーサイが最後に別れた日に背中にくっついた1枚の落ち葉が、この日までくっついていたのである。そして、枯葉が張り付いていた部分だけ筋肉(皮膚?)を鍛えきれていなかったのだ。

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枯れ葉


「私はあえて鬼になる!!」
拉麺男はベアハッグを脱出し、背中の枯葉をはがす(何故?)。

はがす


そしてそこに必殺拳「命奪刺葉拳」を打ち込むと、今まで弾き返されていた拉麺男の拳が蛮暴狼の背中に刺さるではないか。拉麺男の手刀は蛮暴狼の左背面から刺入し、胸骨上部(胸骨柄部)を貫通したのであった。

貫通


「さ…さすがラーメンマン、あの日のオレの目にくるいはなかった…」
落ち葉舞う空の下、拉麺男は蛮暴狼の亡骸を前に彼との思い出に浸るのであった。

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…うん、いい話なんだけどね…。とりあえず、もうどこから突っ込んでよいやら…。
なんで1枚の葉っぱで筋肉とか皮膚が鍛えられないんだよ、とか、肋骨や胸骨まで貫通できる手刀を跳ね返す筋肉なんてあるのかよ、とか、そもそもどんだけ長い間葉っぱがくっついてたんだよ、とかね。
無理矢理つじつまを合わせるとすれば、筋肉拳の要諦は筋肉の強さよりも皮膚の硬さにあって、蛮暴狼の背中についた葉っぱがものすごい厚いものだったため、外表からの刺激に(滝に打たれるとか、熱砂に横たわるとか)よる皮膚の硬化訓練に対してその効果を半減させうるものであった、ということなのかもしれない(だから拉麺男も葉っぱをわざわざはがしたんだね☆)。ということは、筋肉拳ならぬ表皮拳蛮暴狼と改名した方が実情に即しているのかもね、って思ったりする。

ちなみに、いくらなんでも蛮暴狼を殺すことはないだろう、って思った方もいるかもしれないけど、蛮暴狼は「あの地獄の殺人者として中国全土にその名を知らぬ者はないという(by拉麺男)」ほどの悪人らしいので、このマンガの世界では許容された殺人であるようです。

殺人者


それにしても、幼なじみが久々に会ったら地獄の殺人鬼とは…。

今回の話しかり、『闘将!!拉麺男』は納得いかない箇所がそこかしこに見られるマンガである。そもそもゆでたまごのマンガは、基本的に物理法則やら生物学的理論に則っていないことが頻繁にあるのだが、それでも一定数の読者が存在して、世間に受け入れられている(と僕は思っている)のは、科学的に納得できるかどうかというよりも、人間の深層心理に訴えかけるような物語だからなんじゃないかと思う。神話とか民話が人口に膾炙するのと同じようなものかも知れないな、と思うのである。

  1. 2007/08/12(日) 03:27:35|
  2. 心理学・現代思想
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